「…じゃあ、再開します」
重い空気の中、私は小さく口を開いた。
「えっと…」
とは言ってみたものの、何も手がかりがない以上、聞きたいことも特にない。
こんなことになるんだったら、もっとウィーユーを読み込んでおくべきだった。
せめて持って来れたらよかったのに…
そのとき、ふと思い出した。
私はここへ来たとき、ウィーユーの生原稿とスマートフォンを持っていたはず。
それらは、結局どこへ行ってしまったのだろう。
スマートフォンさえあれば、何でも調べられるのに。
原稿があれば、何かヒントになるはずなのに。