無事に2日目の撮影が終わり。スタッフと、海が見えるテラス席で飲んでいた。
久しぶりの南国と、今日やりきった仕事への手応えが生む高揚感。
みんないい感じに酔っていて、何もかもが爽快。
「え、最終日1日オフなの?!?!」
チョコが、キラキラした目で岡ちゃんに叫んだ。
「はい、出国前、相当皆さんに消化していただいたので・・・
実は、社長の指示で。最終日はオフにするよう言われて、相当詰め込んでました。」
誰も死なないでよかったです、と岡ちゃんは真面目な顔で言った。
チョコがすぐ、マリンスポーツがどーたらと言い出すのを聞きながら目を閉じる。
あー、やばい。
今、最高にいい気分だ。
「うわー、すげえ・・・」
誰かの声で、まさに目の前で始まるサンセットに気づき。
迷わず浮かんだ彼女に見せようと、携帯を手に取った。
撮りたての写真を送信して。
画面が即、既読に切り替わったのを見て何となくソワソワしてしまう。
さすがにこの景色を見れば、“胸キュン”でもするんじゃねーの?
現に俺は今、いろいろと、してる。
数秒後、帰って来たのは「どS野郎」の一言。
「何でだよ!」思わず声に出すと。
向かいの席で同じように携帯をいじっていた陽斗が、不思議そうに目をあげた。
まじで、なんだこの反応?
理解不能。奇想天外。普通、こんな返し来るか?
だけど。
やっぱり、口元が緩んだ。
思い通りにならないこの感じ。
毎回裏切られるこの感じ。
嫌いじゃない。
癖になる。
そして想像する彼女は。
やっぱり、可愛い。