ふてくされたままの横顔で、助手席に座る姿が。
出会った頃の姿を、思い出させた。
あまりに強引で、可哀想だったかとは思うが。
今夜は。
絶対に負けられなかった。
『責任取らないとか言ったけど。』
首都高を走る車の中で、深くシートに体を沈めた彼女は口を開く。
『そんな無責任なことは、しないから。』
「知ってるよ。」
だから、俺は理沙子に社運を賭けるのだから。
「だけどもしものときは、直生に一緒に責任を取ってもらうといい。笑」
『へ?直生さん?』
なんで?と目を丸くする彼女。
やっと、こちらを向いた。笑
「最終的に今回の件をスタッフにゴーサイン出したのは_______直生だから。」
初めて、直生をMVの企画に加えることにした。
もともと映像の加工や制作には興味があったようで。ミーティング段階から参加し、意欲的に作品作りに関わる姿勢を見せてくれていた。
planetの活動と兼任する中で。
持ち前のリーダーシップを発揮しチームを牽引する直生に、俺は改めて感謝していた。
日付が変わる前に帰宅しようと仕事を切り上げ、まだ明かりを灯しているダンススタジオの前を通りかかったある夜。
ジャージ姿のまま床に座り込んでいる人影が、直生だと気づいた。
たくさんの宣材写真を前に、床に手をつき真剣な表情で。一枚の写真を手にしては降ろし、また別の写真を手にしては降ろし、を繰り返していた。