階数表示、が。
もうすぐ一階に着くのを教える。
私は、一階で。
たぶん車の直生さんは、地下二階で。
もうすぐ、この。
夢みたいな時間も、終わる。
「俗に言うかれしは・・・もう、ここ四年ほどおりませんが・・・?」
って、なに余計な個人情報漏らしてるんだあたし!!!!!!!
チン♩と軽やかな音とともに、直生さんが私の隣に立った。
開いた扉が閉まらないように、止めるために。
私はあのデニムジャケットの奥の腕が。どんなに逞しくて綺麗なのか嫌になるほど知っている。
直「じゃあ、今回は二人でもいい?」
「ふた、ふたり・・・。」
普段は、一言一句。
息を止めて聞き逃さないようにする直生さんの言葉が。
まさに、右から左へ流れていく。
直「デート、だけど。大丈夫?」
近く、見上げたサングラスの奥の瞳と。
目が合ったら、選択肢なんて塵になって消えた。
「だい・・・じょぶ、です・・・?」
よっしゃ、と。
直生さんは、くしゃりと笑った。
焦がれる私は、もう限界で。
震える足でエレベーターを降りたら、張り詰めた身体はもうちぎれてしまいそうで。
一度も振り返らずに、ただ夜の街を駆け出していた。