バターが香るフカフカの分厚いパンケーキにあしらわれた、紅いベリー。
生クリームが蕩けて、ハチミツと流れる。
頬張った時に、ほんのり苦味が広がるのは。
生クリームの下に隠れたエスプレッソの仕業。
油断出来ないその様は
要くんにぴったりだと思った。
『すっっっごく、美味しい!』
本当は、どうしたらこんなにフカフカに焼けるのか聞きたかったけど。
この場で、料理ネタを話すのはあざとい気がして。
ひたすら感動を表現するに、止めた。
金「ありがとうね~♡
陽斗は何でも美味いって言うからさ。やっと、本当に褒められてる気がする。」
金田さんの言葉に、要くんが苦笑する。
要「いや、本当にどれも美味いんだって!」
その時、机の上の要くんのiPhoneが震えた。
画面を覗きこんだ時、一瞬眉が寄ったのを見逃さなかったけど。
さっと手に取り席を立った姿に、私が考える必要のないことだと理解する。
金「コーヒー、まだ飲める?」
『お願いします♡』