「ご馳走様。お風呂はいってくる」
リビングを足早に去り、脱衣所で服を脱ぐ。
〝あんなん別に、みんなやってることじゃん〟
〝俺らもする?〟
頼んでもいないのに記憶が無意識に、4日前の凛の言動を一つひとつ掘り下げていく。
「いてて…」
その度にギュ、と硬く瞼を寄せるせいで、シャンプーの泡が目に入ってしまい酷く染みた。
ほんとだね、凛。大人はみんなやってることだし、なんなら大人じゃなくてもしてるわ、うん。
「はーー…」
湯船に肩まで浸かると、身体が芯まで解されていく。
「(にしても、凛のお母さんが妊娠かぁー…)」
赤の他人でちょっと事情を知っている私ですら、複雑な気持ちを抱えてしまうんだ。
凛はきっと私の何倍も思うことがあるだろうな。
天井から水滴がピチャン、と湯船に落ちる。