「なにしてるんだから知らないけど帰るよ」


勉強のストレスが相当溜まっているのか。

凛はどこか機嫌が悪そうで、表情も浮かなかった。


さては相当厳しいところを志願したなコイツ。


ゆらりと立ち上がって、ゆっくり歩き始める凛の横に並ぶように、歩幅を合わせる。

なにか励ましの言葉をかけるべきだよね、これ。


「えーと、エジソンが言うにはさ、成功は99%の努力と1%のひらめきらしいよ!」

「へえ、あっそ」

「…うん、なんか今の違ったね」

「別に落ち込んでねぇし」


私の下手くそな励ましから何かを察したのか、凛が分かりやすく強がって見せるから、私は余計に力になってあげたくなった。


「何か私にできることある?」

「……」


凛が、ソッとその横顔を私に向ける。


「……ある」

「なになに?」


冬の寒さが容赦なく肌を冷やしていく。