「、」

正門を通り抜けると、すぐ脇のコンクリート壁にヤンキー座りで途方にくれている中学生を発見した。

あれ?

「おせぇよ」

あれれ??

ヤンキー座りのままジト目で私を見上げる凛。

私は謝るよりも先に、朝のやりとりを頭の中で確認し直す。

〝帰りは?〟
〝いいよ、歩いて帰るから〟
〝あっそ〟

うんやっぱ私、朝、帰りはいいよって言ったよね。

「ひまだったから」
「え?」
「暇だったから勝手に来た」

そんな私の疑問を感じ取ったのか、凛はぶっきらぼうにそう言うと立ち上がる。

そこそこ周りの視線を浴びてるのに、それに耐えつつ今までここで私が来るのを待っててくれたの?


忠犬ハチ公かキミは、と思わずツッコミたくなる衝動に駆られるも、素直に嬉しかったので「ありがとう」とお礼を述べる。