**-- other side Seventeen --**



3月3日。


――栞の誕生日か。


栞のことは吹っ切ったけど、この日だけは特別だった。


ひな祭りが誕生日だなんて、忘れたくても忘れられない。


例えば……1月1日とか5月5日とか休みだったりゴロがいい日は覚えやすい。そんな感じだ。


ヒデに全部話したおかげで毎晩の飲み歩きはピタリと止んだ。


家でも会社でも俺の様子は元通りに戻り、みんな一安心したみたいだった。


あれから栞とは一切連絡を取っていないし、雪ちゃんからも連絡は入らない。


まるであの合コンの前にタイムスリップしたような感覚、ただ普通に毎日が過ぎていくだけだ。


味気ないと言えば味気ない。
だけど、それは俺が選んだこと。


“どうせ死ぬんだから、早いうちにケリがついてよかったじゃないか”


そんなふうに、俺の中の悪魔が日に日に声を大きくしていく。その声を、俺は抵抗することなく受け入れる。


もう栞が言ったことに腹を立ててはいなかった。