**-- Seventeen --**



「それならいいですけど……、安定剤でも出しましょうか?」


看護師さんは言う。


「……いえ。ほんとに大丈夫ですから」


寝汗をびっしょりかいた額を拭きながらワタシは言った。


「分かりました。何かあったらナースコール、押してくださいね」


看護師さんは安心したように優しい口調で言って、病室を出ていった。


――あんな夢、何年も見てなかったのに……。


再び静かになった病室の天井を見つめ、ワタシは不思議に思った。


箱に鍵をかけて鎖をぐるぐる巻きにして、もう絶対思い出さないように深海に捨てたはずの小学校の思い出。


25歳になったとたんに思い出すなんて、こんなことってあるのかと不思議でたまらなかった。


死を目の前にすると、今までの人生が走馬灯のように脳裏に浮かぶという。


まさかまだ見ないだろうと思っていたのに、こんなに早く見るとは思ってもみなかった。


鎖がほどけはじめているのだろうか……?


……怖い。