**-- Seventeen --**



でも、何もされなくなるまでにはもう1段階踏まなくちゃならないんだ。


「お前も嗅いでみろよ!ほんとにウンコ臭いから!」


その子が合図を出すと、クラスの男の子たちはおもしろそうにワタシを取り囲む。


そして一斉にワタシの周りの空気をクンクン嗅ぎだした。


「ほんとだ〜!こいつ、ウンコじゃん!」

「くっせ〜」

「うえっ」

「なんか吐きそう」


口々にそう言っていく。
ワタシはそれを、笑いながら受け流す。


これだ。


ワタシは傷つきすぎて傷つくことがどんな感覚や痛みなのかがもう分からなくなっていた。麻痺状態だった。


抵抗すれば、さらにおもしろがられてひどいことをされる。


ワタシは真っ向から勝負することを諦めたんだ。


ヘラヘラ笑うこと。
これが一番いいと学習するまで、ワタシにはそう時間はかからなかった。


家に帰ってもこんなことの繰り返しだったし、学校でも毎日されていたから嫌でも身についたことだった。