**-- Seventeen --**



雪をつまみ出した看護師さんは、怒ったような呆れたような顔で腰に手を当て、フーッとため息をついた。


「友だちとおしゃべりするのもいいけど、一番大事にしないといけないのは小峯さんの体なんですからね」


看護師さんはそう言って、ワタシの返事も聞かないで手に持っていたひなあられを没収。


「私が食べておきますよ」


語尾にニタリとした顔文字でもつきそうなくらい見事な営業スマイルを残して、そのまま病室を出ていった。


――あ、雪に“ごめん”ってメールしなきゃ。


ガラガラとドアが閉まると、呆気に取られていたワタシは我に返った。


枕の下からケータイを取り出して開くと、またドアが開いた。


「電話やメールも程々にね」


ワタシの心を読んだ看護師さん。ものすごくいいタイミングと絶妙な間に、ワタシは微妙な笑顔を返すしかなかった。


そんな入院初日はあれよあれよという間に終わり、見慣れない天井と病院の空気を肌に感じながら、ワタシは眠りについた。