「じゃあ、ほんとにいくね!

あっ、今日夜ごはんいっしょに食べるみたいだからおそくなったらだめだよ。みゆちゃんにサプライズだったのにバレちゃったよ。ママにはもう、みゆちゃんにあったことつたえておくね」


そう言って翔陽のお母さんは、俺らに背をむけてあるいていく。


そのうしろ姿を、結優奈とふたり、ならんでみつめる。






「……あのね」


翔陽のお母さんのうしろ姿がみえなくなってから、となりにいる結優奈がポツリとつぶやく。


「ん?なに?」


結優奈の顔をみようとのぞきこむけど、俺と目をあわせようとしてくれない。


……?


「あの、ね……翔陽ちゃんママがさっき言ってた、『みゆのきになるひと』なんだけどね……

あれ、翼くんのことなんだ……」


ほほをピンクに染めながらボソッと言う結優奈のことばを、あたまのなかでくりかえす。


結優奈にきになるひとがいる。


それが、翼くん。


結優奈のきになるひと、翼くん……


えぇえぇえぇえぇ!?