「いいから、使えばいいだろ!」


「っ、私、今…す、好きな人待ってるから!その人に傘入れてもらうからいらない!」



好きな人?兄貴か?
やっぱ俺より兄貴だったのかよ。



「もう私に構わないで…」



そう言って俺を見た優夢は今にも泣き出しそうな顔をしていた。


泣きたいのはこっちだっつーの。



「…それでも、コレ持ってろ」



俺以外の男と相合傘している優夢を想像し、阻止するために無理やり渡した。



そして、俺は逃げた。
雨の中走り、ある程度の所まで来ると足を緩める。



くそ!何で…兄貴なんだよ。


そんなことを思いながら歩いた。



そして、風邪を引いた。