「てか確かに悪いことしたとは思うけどさ、キスの1つや2つどうってことねーだろ!」
振り返るとそんな楽観的な言葉がふってきた。
どうってことない?
陽斗くんにとってはそれくらいなのかもしれない。
だけど、私にとっては違う。
どうでもよくない。
「それとも、キスで俺のこと好きになっちゃった?」
近づいてきたと思うと、私の顎に手をかけ俯いた顔を強制的に上げられた。
その顔にはいつもの意地悪な笑みが浮かべられている。
あぁ。そっか…。コイツは本当にこんな時でさえ、こんなことができるんだ。
私がどんだけ悩んでも、陽斗くんには「どうってことない」で簡単に片付けられるくらい小さなことなんだ。