解熱剤の効果は少し感じられるくらいで、みぃの体が楽になる様子ではなかった。  


外来を終えてみぃの病室へ行くと彼方がいた。

『みぃ………どう?』

『つ、くん………へーき』

俺とみぃのやり取りを辛そうな顔で見守る彼方。 

『みぃ、眠れるなら眠ってもいいよ』

彼方の優しい声色に、ゆっくり目を閉じたみぃ。

暫くすると、寝息が聞こえてきた。

『無理………してるよな』

『みぃ本人は言わないけど、辛いと思う。俺としては症状を、伝えて欲しいんだけどね』

俺の言葉に苦笑する彼方。

『いつの間にか我慢強い子になってしまったんだ………俺も日向ももっと甘えて欲しいのにさ』

『担当医にも甘えて欲しいんだけどね。なかなか手強いよ、みぃは』

『みぃ、次のテストまでに退院したいって言ってたんだけど、どうだろう………』

『みぃ本人がきちんと症状を伝えてくれないと治療も遠回りになったりするからなー』

『だよな………ほんと司には迷惑かけてごめんな………』

『いや、こんなのは可愛いもんだよ。ただ、入院が延びたら困るのはみぃだよな………』

『今の症状より、少しでもマシになればみぃは受けたいって言うだろうし………』

『ほんと可愛いみぃちゃんの攻略は難しいー』

『悪いな。でも見捨てないでやってな』

『見捨てようなんて思ってないよ。ただ、俺とみぃの信頼関係が築けてないだけさ。あぁー、もっと頑張ろうっ‼』

『頼りになる同期だよ。司は』

『俺もまだまだだから、みぃに辛い思いさせちゃって悪いな………』

『みぃは、司のことそんな風には思ってないと思うぜ』

『だと、いいけどー』

暫く俺らはたわいもない話をしながらみぃの様子を伺っていた。