『かなにぃー。みぃちゃんは?』

小さな葵が、俺を見上げてワクワクしている。

『ごめん、かな兄』

『いや、大丈夫。葵、みぃは今病院でお泊まりしてるんだ……』

『びょーいん?』

『お熱とコンコンしてるんだよ』

『しんどい?』

『元気になったら帰ってくるよ』

『みぃちゃん……』

俺の話の内容が分かったのか、しょんぼりしている葵。

『な。急に行ってもダメだって言ったろ?』

『はぁい……』

しょんぼりしたままの葵はほんと、撫で回したいくらい可愛い。

『葵、おやつ一緒に食べようか』

『おやつ‼』

『かな兄いいの?』

『みぃ、入院長引いててさ……俺が葵見て癒されたい』

そんなこんなで、一緒におやつを食べることになった。


久しぶりに感じる小さな存在は、小さくても存在感抜群で。

どんよりしていた部屋の空気が、一気に明るくなった。


『かなにぃー、あおいもやるー』

ホットケーキの準備をしていると、キッチンに葵がやって来た。


『じゃぁ、これグルグルしてごらん?』

『うんっ‼』

俺の提案に嬉しそうに始めた葵。


なんだか、みぃが家にいる錯覚が起きる。


『そしたら、これでここにそうっと流してごらん?』

『うん』

真剣な顔で作っている葵が可愛い。

『後は焼けたら完成だよ』

『うん、楽しみ』

ワクワクしながらホットプレートを見つめる葵。

みぃも一緒にしてたら喜んでいただろうな……