コホコホ……コンコン……

さっきから、咳も出ている。

ベッドでグッタリしているみぃは、見ているだけで辛そうだ……

『かな……にぃ……ケホケホ……ケホケホ……』

『ん?どした?』

『ぎゅってしてて……ケホケホ……コンコン』

そう言って手を伸ばしてきた。

俺はその手をぎゅっと握った。

『眠るまでこうしてるから』

俺の言葉を聞いて、にっこり笑ったみぃは、ゆっくり目を閉じた。

手を握ると、安心出来るのかな……



それからみぃの症状は悪化を辿る一方で……

俺や日向が毎日付き添っていたんだけど、とうとうICU で、病状を診ることになった……

『みぃ……どうしてみぃばっかり辛い思いしなきゃならないんだろう……』

『美晴も辛いよな……』

この頃の俺と日向は、意気消沈していた。

みぃのお見舞いをした後、家に帰ってきた俺たちは、なにもやる気も起きず、どんよりしていた。



ピンポーン

その時突然の来客。

誰だろ……
 
日向と顔を見合わせる。

『はい』

『みぃちゃーん。あ、そ、ぼ』

元気な声が響いた。

『葵?』

『ごめん、かなにぃ。葵がどうしてもって聞かなくて……あ、こら葵ッ‼』

どうやら、オートロックを通ってしまったみたいだ。

『兄貴、だれ?』

『湊と葵』

『ハハッ。湊振り回されてるんだろうな』


ピンポーン

誰が来たのか分かってるから、玄関を開ける。