その日の帰り
今日は千夏がいない
用事があり、先に帰っていった
ひとりで帰るのは久しぶり
また私は河川敷にいた
桜はずいぶん減っていて
地面にはたくさんの花びらがあった
まるで薄いピンクの絨毯みたいに
綺麗だけど少し切ない
また頭の中で私の変な歌が流れる
近くには誰もいなかったので
ちょっと大きな声で歌ってみる
風にのって
桜の花びらと一緒に
「良い歌だねー、綺麗な声だよ。」
昨日聞いたのと同じ声
後ろには彼がいた
昨日、見た男の子
背が高くて笑顔が素敵な男の子
会いたかった
私はこの時、どんな顔をしていただろう