「彩? あーや!ねぇ、ってば!」

「へ?なに?なに?え!?」

千夏が何回も呼びかけていたようだ
全く周りの声が聞こえなかった


自分でも何が起こったかわからない

ただ、気がつくと彼は
いなくなっていた

長い時間ぼーっとしていたみたい


「もう、疲れてるでしょ」
「早く帰ろうよ」

「うん、帰ろう」

あれは幻だったのかもしれない
そう思って家まで歩いて帰った