無意識に声がした方へ首を動かした
桜の花びらの向こう



見えたのは

友達と水を掛け合いながら笑っている
男の子
背は高くて一際、笑顔が輝いて見えた
あの声は、笑い声は、きっと彼だろう

自分と同じ学校の制服を着ている

「寒そう、大丈夫かな。」
つぶやいた瞬間に


彼と目があった
その瞬間、世界がちょっとだけ
輝いて色づいて見えた気がする

そして聴いていたはずの曲が
聴こえなくなる



何かに落ちた音がした

たぶん、恋に落ちた音