「私のこと好きじゃなかったの…?」
「好きじゃないってことでもないけど」
「あの子の方がよかった」
ーーあの子の方がよかったーー
あの人の言葉が離れない
離れないから、忘れられない
少しずつ周りの気温が下がって
暗くなっていく
ぼんやり過去がフラッシュバックした
中学の頃は恋なんてしたことはなかった
部活もしていなかったし
好きなものは音楽だけ
高校生になり、千夏や色々な友達に会って私の性格は少し明るくなった
そんなクラスに馴染みはじめた頃
あの人に恋をした
初恋だった
嫌なことを思い出しそうになって
ヘッドホンの音量をひとつ上げる