私たちは歩いていた


日常の道を



いつも通り高校が終わって
一緒に帰っていた


亮は今日は部活がなくて
私はもともと入っていなかった
だから一緒に帰るにはもってこいの日

手を繋いで歩いてた

そう いつも通り


でも、今日はいつも通りじゃない事が起こってしまった




亮が信号が赤なのに気づかず、わたり始めていた


横からは大型トラック  大きなクラクションの音




もう私は駆けだしていた

無意識のうちに



お願いだから、亮を取らないで

そう思って亮を思いっきり押した



バランスを崩していたのが幸いしたのか
亮は歩道の近くまで退いた


でも、その代わりに私がその位置に入ってしまった

ああ、こういう時足が動かないって本当だったんだ
そんな呑気な事を思っていられる程、私は冷静だった


いつの間にか、トラックは目の前まで迫ってきている

これが意味するのは・・・






私が最後に聞いたのは大好きな亮が私を呼ぶ声

その声はとても焦っているようだった


「柚華・・・?おい、柚華!」


ねぇ亮、そんなに呼ばなくても聞こえてるよ




ねぇ亮・・・


「い・・き・・・て・・て・・・・よ・・かっ・・・た・・・」



私が最後に見たものは


真っ赤な血に濡れた私と亮の・・・繋がれた手