俺たちが屋上に入ったとき

それは、少し遅かった


肝心な時に間に合わなかったら意味ねぇって
そう思えば思うほど脱力する


俺等の前で、柚華はくずれていた

壊れていた


左腕からは赤い血

立ちはだかるのはクラスの女子



「………お前等、何やってんの?」

「一ノ瀬君……!」

「何やってんのかって聞いてんだよ!」

目の前で崩れた柚華を見て
柚華がされていたことなんて一目で分かるのに
怒りをぶつけたくて、叫んだ


「……犯罪じゃん?」

ぽつりと直が言った
その言葉に女子達が怯え始める


「なんでこんなことしたわけ?柚華が何かやったのかよ!?」

前々から疑問に思ってたことを聞いてみる
柚華は必要以上に人に関わらない
なのに、何を責める必要があるのか


「そ、それは……」

「早く言えって!」

「ご、ごめんなさい!」

「言わないなら早く消えろよ。目障り」

直のとどめの言葉にいきなり女子達は屋上から走って出て行った
止める気にもなれず、俺は自分の中での
やるせなさを抱えるばかりだ


「柚華!大丈夫か!?」


とりあえず今は柚華の事が先だ
そう思って近づいてみるものの、柚華の目に俺は映っていなかった