「元の世界には……戻れない?」
どういう意味ですか?
そう問おうと思った時、天使さんは話し出した
「まず、世界というのはたくさんあるということです
貴女はそのたくさんある世界のうちの1つに生きていました
そして、貴女の住んでいた世界には戻れないという事です」
「そんな……もう、亮とは会えないの?」
「はい。元の世界の方とはもう会えません」
ありえない…
こんな事、あるはずがない
そうは思っても、今この時が夢でないなんて事は分かっていた
亮がいない世界なんて意味ない
楽しくも、何ともない
私にとって亮は、恋人であると同時に家族同然の存在だった
私は幼い頃に両親を亡くしていたから
今までずっと祖父母に育てられていた
でも、その祖父母は私の事が気に入らないみたいで
良い扱いを受けていなかった
そんな毎日に光をくれたのが亮だった
その亮がいないなんて……