幸運なことに、屋上には人がいなかった
と言ってもこの学校の屋上は鍵がかかっていて
私がこの間屋上の鍵を壊したから入れている

つまりみんなは屋上が空いていることを知らないのだ

それを良いことに私は1人でお昼を食べた
そしてもうすぐ本鈴がなるかという時に教室に帰ってきた


席に座るって教科書を出す

が、肝心の教科書がなかった


……どういうこと?


はっとして辺りを見回すと
一部の女子がこっちを見て笑っている

…あいつら、か


今すぐいろいろ言ってやりたいところだけど
なんとなく下手に目立ちたくないし
ほっておくことにした


そっと席を離れてゴミ箱の中を覗けばそこには私の教科書
思い切って中に手を入れ、教科書を取り出した

見ると傷はついていなかった
ただゴミ箱に入っていただけ

これならまだ全然使えるし

私ならもっと陰険な手を使うけど
ズタズタに切り裂くとか
マジで隠すとか

ま、周りに見られる可能性でも考えたのかな


そう思いながら自分の教科書を持って席へ帰った
相変わらず私の事を見て笑っている女子が5,6人


私、あの人達に何かしたっけ

絶対してない。一切関わっていない

そうすると、やっぱ転校生イジメってやつ?


まあどっちにしろ別にダメージを受けることでもない


そう思って本鈴が鳴ると同時に私は目を閉じた



そして今のこと全てを見ていた人が2人



一ノ瀬と椎名だった