これでまた1人でいられる

良かった



これで亮との思い出が遠くなることはない

良かった



これでまた1人ぼっち

良かったんだ、きっと




今までは亮がいて、独りなんてなかった
そして、亮がいなくなって
だから私が独りになった

それは変なことでも何でもない



これが、普通なんだ






そう自分に言い聞かせる様に頭の中で
何度も唱えた


そうじゃないと何故か安心できない






そう頭の中でいろいろしながら階段を下りようと
したその時



ドンッ!!



「いったー……」

後ろから、誰かに押された


バッと後ろを振り向くと視界の隅に
スカートの端が映った


クスクスと聞こえる声




……厄介なことになったな



そう思いながら倒れた自分の身体を
起こして立とうとする


「…っ!」

どうやらくじいたらしい


私の足はどんどん熱を帯びていく


……やばい

でももうすぐ授業始まるし


サボると担任が煩いことはもう熟知していた




真っ赤に腫れる足を気遣いながらも


私は音楽室へと急いだ