転校初日から数日が経った

私は相変わらずクラスに馴染んでなく
ただ1人で過ごす…はずだった


それを阻止した奴が1人


「柚華!教科書忘れたから見せて」

「無理」

「まあまあそんな事言わずに」


一ノ瀬俊也

私の自己紹介の時にいきなり立ち上がった奴
あの後こいつは何故か私にまとわりついてくる
移動教室の時についてきたり…


その一ノ瀬といつも一緒にいるのが椎名直樹
こいつは結構静かな奴で、私の隣の席でもある
正直2人の性格は正反対なのに何故2人が仲が良いのか分からなかった



「ねー?ちょっとぐらい見せてよー」

「無理。ってかあんた4つ向こうの席。隣に見せてもらえば。」

「やーだね」


まあ正直一ノ瀬はウザい
いつの間にか名前で呼んでくるし

まだ椎名のほうが断然マシ


「おし、授業始めるぞー……ってお前等何やってんの?
明か狭そうだろ」

担任の山本が私、一ノ瀬、椎名と2つの机に3人で座っている光景を見て言う
確かに狭い
本当、ありえないし



「柚華に教科書見せてもらうんですー」

「おお、そうか。なら仕方ねぇな」

「……」

まあ一ノ瀬もあり得ないけどこの担任も大概あり得ない
正直このクラスむちゃくちゃだし



「こいつ、言い出したら止まらねぇし折れた方が賢明な判断だと思うけど?」


いきなり椎名が言った
その台詞に一ノ瀬が怒ってたけど、それを気にせずに
「ね?」と私の方を見て笑ってた
こいつ、中々読めないから気をつけたほうが良いっぽい


私は言われたとおり、無言で教科書を一ノ瀬と私の間に置いた
しょうがなく、だけど




こうやって段々ととけ込んでいくのが
少し心地よくて
嫌、だった