「目が見えないのに、さすが能力者は違うわねぇ…」
声をかけてきたのは初老の男性。
和也とスミレを待ち構えていたかのように、ガードレールに軽く腰掛けていた。
スミレの返事を肯定と捉えたその能力者は、表情を険しくさせて和也を睨んだ。
「ハンターをお供に散歩とは…
革命を起こした渡辺教授の孫娘殿も、ついに組織へ寝返ったという事ですか…」
「あら、随分と辛辣ねぇ…」
『敵では無い』と聞かされていたのに、自分たちへ向けられる明らかな敵意に、和也はかなり戸惑っていた。
「えっ、目が見えないってどういう事ですか!?」
「…」
「えぇ!?
今、その質問が出てくるの?」
ピリピリした空気を破ったのは、リングに上がって無かった和也だ。
スミレは頭を抱え、初老の男性は固まった。