「あたし…
抗がん剤治療を受けてたんですけど、
異常ないのに受けて、どうもないんですか?」

「あぁ、そのことだね。
それなら大丈夫だ。
抗がん剤治療は白血病のひとだけに
効くから、何もない人には なにも効かないよ」

そう…なんだ。


「そうなんですか。
わかりました、ありがとうございます」


「じゃあ、また退院できるようになったら知らせにいくね」

「わかりました。」

「失礼します」

あたしは、A号室に入る前よりも
軽い気持ちでA号室を出た。