もし仮に誰も知らない情報があったとしてそれの記憶が運良く無くなっている、とは考えにくいわね




確かにあの子は記憶がなくなることは多い、いろいろあったみたいだから無意識のうちにそうなってしまったんだろう



だけど、そんな全部都合よく記憶からなくなっている、ってことはないのでしょうね




「理希、一つ頼みがある」



「なんだ?」



杏奈のお兄さんはしばらく考え込んだあと理希をよんだ



「悪いんだが、大学に居る時以外でいいから杏奈を...見張っててくれないか」




「見張る、とはどういうことだ?」




お兄さんだって大事に妹を監視するなんて気が重いんだろうね




だけど、確かに杏奈は監視されるべき対象であることも事実だ




「もし、杏奈が他に隠していたとして、考えたくはないがそれが俺たちにも想像のつかないようなものだとしたら1人にさせるのはあまりにも危険すぎる


理希だって知っているだろう?杏奈は少しばかり物事を深く考えすぎている


それが悪いこととは言わないが...よからぬ方向に転ばれては困るからな


本当は俺が行きたいんだが、残念ながら明日からしばらく出張なんだ、頼めないか?」