「聖羅!!」
私を呼ぶ声と同時に隣に誰かが乗りこんだ。
「晴貴(ハルキ)さん・・・?」
―バン
ドアが閉められ密室になった。
「なんでいるのよ」
「聖羅に会いたかったから」
そんな甘い言葉にも、胸がときめかない。
長い足を組み直し、茶色い瞳で私を見る。
「今、ちょっと“ドキッ”ってした?」
「してませんわっ!!」
「ひでー。即答かよ」
なんでナルシストなあんたにときめかないとならないのよ。
「ずっと一緒なんだから、ちょっと位オレに恋心いだいてもよくない?」
「ありえないわ」
「ちぇっ・・・」
瑠璃沢 晴貴(ルリサワ ハルキ)。簡単に言えば幼なじみ。難しくいえば・・婚約者。
私の会社と晴貴の会社が合併するとすごくよくなる。・・・・らしい。
こんな人、私はごめんだけど。
顔は、悪くないんだけど・・・・どうも私には、他の女の子のようにキャーキャー言えない。
言葉づかいは、悪いけどどこか上品な貴公子様。
それがムカつく。