―コンコン

扉のない方から音がする。

・・・音はベランダから響いてくる。

―ゴンゴンッ!!

こんな叩きかたをするのはアイツしかいない。

ベランダへと続く窓を開けた。

「・・・真樹」

「晴貴くん、こんばんは」

いやいやこんばんはじゃなくて・・・

「どした??」

少し表情を曇らせ、目を伏せた。

「・・・今日だけここで寝かしてお願いしますっ!!」

眉をしかめたまま両手を顔の前で合わせた。

さては、聖羅と何かあったな・・・

ここで“いやだ”なんて言ったらオレめっちゃ悪者だよな・・・。

「わかったよ。ほら上がんな」

「まじ!?やった!」

靴をぬいでずかずかと中へと進む。

「あっ!なぁこのいえって靴のまま上がっても良かったのか?」

いきなりタメ語になったし・・・

いや、いいんだけどよ。

「あぁ。早く履けよ。きたねーぞ」

「うぉっ!最悪!!じゃ、風呂貸して!!」