「それは、ただほんと、純粋にお祝いとして……っ」

「えー? 俺、一花ちゃんになら束縛されてもいいよ?」



にこにこと彼は言うけど、ちょっと待って。これってそんな笑顔で言うセリフなの??

言葉にならない私をぎゅうぎゅうに抱きしめながら、千晴くんが耳元でトドメとばかりにささやいた。



「一花ちゃんは高校生んときに彼氏いたみたいだけど……こっちは、ガキの頃からの初恋こじらせてんだからさ」

「っへ、」

「もうこれからは、嫌ってほど“愛情表現”しようね?」



さらりと投下された『初恋』ってキーワードとか、彼の言うその『愛情表現』の中に含まれているのは一体どんなものがあるの?、とか。

気になることは、まあいろいろとまだあるけど。


それでも今は、ようやく届いたこのぬくもりにただ包まれてたいから。

ひそかに服の裾に侵入して来ようとしていた、彼の不埒な右手は叩き落としつつ。いつの間にやらたくましくなった胸板に頬を寄せながら、左手首の腕時計をそっと撫でた。










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