ガチャッ。

「…、あれー?梓咲ー?」

え?

「理人…。おはよう」

「おはよー。なに、朝から痴話喧嘩?」

痴話喧嘩って。

てか、理人に見られたー!

「なんだ、このガキ」

あ、やべ、清の顔お怒りじゃん。

「えぇっと、隣の家の幼なじみの長谷川 理人 (はせがわ りひと)、弟みたいな幼なじみ」


理人とは家が隣で小さい頃から仲良しの一つ年下の幼なじみ。

あ、男女の幼なじみだからって恋愛感情などはない。

「ふーん、まーいいや。梓、行くぞ」

「痛っ」

最悪。

「…離せよ。梓咲に触れんなよ」

え?

理人、その口の聞き方…、清が怒るよ?

「あ"?テメー中学生のくせに調子のんなよ!」

あっ、理人が殴られるっっ!

……。

あ、れ?

「って、えー!?ちょっ、清大丈夫!?」

「ぃってー」

嘘。

清がやられてる…。

「今後一切、梓咲に近づくな。分かったか?」

「…。ちっ、分かったよ。じゃぁーな梓」

…。

え、これって清と別れることができたって事!?

「理人!ありがとう」

やったー!

「梓咲、大丈夫か?」

「大丈夫!あ、遅刻しちゃう、じゃぁね理人」

いっそげー。


この時、私は理人が清に向けて言った言葉の意味が分からなかった。

ただ、助けてくれただけだって思ってた。