「俺の女に何をしている」

冷たく、怒気を孕んだ声が庭園に響く。蒼華の意識はあるが、朦朧とした状態だった。

ラウリがそこに居た。表情は不自然な程冷たい。怒りを越えた得体の知れない表情とも受け取れる。

「なっ、テメェ……!」蒼華の首を締める力が弱まった。妖の脚は尋常じゃない位震えている。

「ラ、ウリ?」

蒼華は掠れた声で呼び掛ける。ラウリは一瞬だけ微笑で見せると、呆然としているカナメを見る。

「警邏(ケイラ)を呼んでおいた。とっとと姿を消せ」

冷たい瞳がカナメを睨む。彼は少し間を開け、頷くと去って行った。妖はラウリの殺気で動けない。