「何で私の名前を知っているの?」

幼く見えても相手は妖。警戒を解く訳が無い。

「来夢さんが僕を監視役として選んだからですよ。何なら、訊いて見ますか?」

この世界には無い筈のスマートフォンを取り出す。これだけでも来夢が使わせたのは信じられる。さらに、来夢は『夢来』と名乗っている。本名を知っているなら尚更信用出来る。

「大丈夫。来夢の名前にスマートフォン。これだけでも信じられるよ」

「そうですか。嗚呼、僕の名前を言っておりませんでした。僕は要目(カナメ)と申します」

狐目がさらに細くなる。彼は狐なのだろうか?

「カナメ君は何の妖なのですか?」

カナメは手を……と言っても袖が長くて分からないから、腕? を顎に当て考え込む。
流石に率直すぎる質問だったと時間差で気付き、反省する。次は気を付けよう。