「起きろ。もう着いた」

いつの間に寝ていたのだろうか。私はラウリの低い囁きで目が覚めた。

「ごめんなさい。寝てた」

寝ぼけ頭なのか、私も何を言っているのか……。

「そんなの初めから知っていた」

「そっか」

私は開ききっていない目で微笑む。ラウリが目を逸らしたけどどうしたのだろうか。
そろそろ重い私を降ろさせて貰おう。腕がもげるかもしれないから。

「降ろしていいよ」

上から目線で私は何を言っているのやら。頭の中に居る理性が笑った。

ラウリはその言葉を無視した。彼の性格から考えると、降ろすのが面倒なだけだろう。
変なの。そっちの方が面倒だとおもうけど。