どこからか鈴の音が聞こえた。母親の様に優しい音色をしていた。

「ん……」

ラウリが目を覚ました。しかし、表情は寝ている。

「ラウリ、重いから退いて」

「ああ」

ラウリは緩慢な動作で起きた。まだ眠り足りない様に思える。
だけど、これだけは訊きたい。

「確か、布団はまだあったのよね? この鈴の音は何?」

「ん? ああ。あった。この音は……目覚まし鈴だ」

音がした所に視線を向ける。壁に鈴の下がった時計があった。

ラウリ寝ぼけているのか声に力が無い。けど質問をする。

「何で私が寝ている布団に寝ていたの?」

「ただ単に布団を敷くのが面倒だったから。後、寝室に行くのが面倒だった。構わないだろ? それに、ここは俺の家だ」

何しようと勝手。彼はそう言った。私は正論だとしか思えなくて何も言い返せなかった。