「……直してくれて感謝する」私にお礼を告げ、素早く抱き上げられる。

「ひゃあ!?」

「下ろさないからな」

下ろして、と言おうとした時にイタズラ笑顔で私を見る。

お姫様抱っこではないだけ羞恥心は少ないけど、心臓に悪い……。

「急ぐからしっかり掴まっていろ」

さっきまで私が身を委ねていた桜の木に、ラウリは常識外の脚力で跳び乗った。

「普段はお前が怖がらない様に遠回りの道を使っていたが、今回は特別だ」

「え、ちょっと、ラウリ……」

私の話を聞かずに桜の木と木の間を跳び移る。速さがあるからヘタなジェットコースターよりも怖い。

「きゃあああああああ!!」

桃色の山に私の絶叫が響いた。