「ここが妖の世界なら、ラウリは何なの?」

「俺は言わない。それを教えるには早い。精々、俺と居る時間が長くなったら言う」

「……人間?」

「それだったら、とっくに野垂れ死んでいる」

そうだよね、私はそう答えた。

ふと、店の場所だと思わしき所に目をやると、朱色の空が布から皆間見えた。

「お昼だと思ったのに……何でだろう」

「妖は時を選ばない。いつの間にか夜になる事だってある。だが、巻き戻しは無い」

ラウリは黙々と作業をこなしながら教えてくれた。

「そうなんだ。教えてくれて、有難う」

「常識だから教えるのは普通だ」

感謝される事に対し、あまり慣れていないのか、少し戸惑っている。