どうせなら
もう好きじゃない。って、
冷たい言葉をかけて行って欲しかった。


言いたいことは沢山あったのに、
何も言えなかった。


大切なものなのに、
いつも簡単に手放してしまう。


どうしたら良かったのか分からないまま、校門を通過した。


学校の前に見慣れた賢人の家の車が止まってる。
中には賢人と、賢人ママが乗っている。


それは萌音が見た、最後の賢人の泣き顔だった。


今までに見たこともないくらい、
ひどく泣いていることが車の外からわかった。


気付かないフリをして、
1人で家に帰った。