ほかの全員が揃うのを、
推薦合格者は静かに待っている。
賢人と席は遠いけど、向かい合った場所だからすぐに目が合う。
先生の長い話は耳に入ってこない。
もう終わったんだな、
「推薦者はこれからの学校生活にも気を付けるように。以上!じゃー挨拶を兼尾」
「起立、気をつけ!礼。」
『ありがとうございましたー』
皆がどんどん帰り出す。
賢人はまだ自分の荷物を整理している。
気付けば見つめていた。
あ。目が合った。
「萌音!おめでと」
「ありがと、」
「…。俺も、ありがと。じゃあ先帰るで!」
「あ、うん、」
「愛しとる」
そう言って、賢人は背中を向けて歩いていった。
1度目の別れの時みたいに。
賢人の匂いがそこには残ってた。