ラスト100mに差し掛かったところで、
1組の駅伝メンバーが隣を走りながらずっと応援してくれた。


でももう、5組と近差で。


5組のアンカーは、山村だった。



タスキを渡した瞬間、萌音は孝規の背中を思いっきり叩いた。



バチーーーン!!!!



「行って!!!」



息を切らしながらそう言った。
あとはもう祈るしかない。
孝規が1番に運動場に来ることを祈るしかない。



孝規はずっと押しつぶされそうだった。
本当はプレッシャーに弱い。
本当は本番に弱い。
明るいフリをしながらも、たくさんの悩みを抱えている。
だけど必死に、山村を追い抜こうとしてる。



そんな姿を好きになる女の子は
きっと沢山いる。


今日1日だけ夢中になってるよ。


孝規を信じて待ってる。