もうすぐ卒業式という日。


賢人と話すことも、連絡をとることも無かった。


帰ろうとして自転車置き場の前を通るたび、出会った日を思い出す。


賢人が自転車置き場の前を通る後ろ姿を
萌音は2m程離れて見ている。



「ねーごめーん!そこのボールとってくれん?!」



1年男子が、
クラスの違う1年女子にそう言った。



「ボール?これ!?」



「それ!投げて!」



「いくよー!!はい!笑」



「ありがとう!」



「うん!!」



2人ともニコニコしていて、
まるであのときの萌音達みたいだった。


あの2人がもし恋に落ちたとして、
そしたら今度こそ
変な運命に惑わされずに幸せになっていて欲しい。