自己の想いを認識しても、手を差し伸べることなど今更出来る筈もなく。



「また、明日来ます。」



一度着けたら外すことの出来ない仮面を身にまとって。



「蔵織様っ!」



武器か、枷か?


さぁ、仮面舞踏会を続けよう。



「行っちゃった……。」



『プロフェッショナルとは?』



何も出来ずに落ち込む捗拵の頭に過る。



今は亡き祖父の言葉だ。



『あらゆる技能を持った職人が世界にはたくさんいる。職人技なんて大それたものなんか無いんだけど、僕も職人なんだよ。僕は、僕の人生の職人なんだ。』



上司にだって言われた。



『ほら、失敗は成功のもとって言うだろ。成功例だけ取り上げて採り入れたって無理だ。失敗例も考慮しないと上手くはいかない。凄く助かってるんだから、そのままな。』




感謝されたくて親切にするわけじゃない。


言われたいわけじゃないけど嬉しくなる。



認められた様で。必要とされてる様で。



あの人達がそうだった様に、ありがとうと言われる様な人でありたい、これからも頑張ると再び決心した新人の夏を思い出す。



「よしっ…!」



捗拵は何かを決めた。