でも、私が言いたいことはちゃんと伝えた。
自分が思っていた通りじゃなかったけれど。


こんな風に伝えるつもりなんて、本当はなかったけれど。


もう戻れない。
きっと、なにも伝えてなかった友だちだった少し前の私たちにはもう・・・。




「じゃあね・・・っ」




それ以上、居たたまれなくて踵を返す。
それでも良かった。
なにも言えず、ただ悶々としていた時よりずっと心が軽い。



「しぃちゃん・・・!」



千秋くんが、私を呼び止める。
ビクッと身体を揺らし足を止めた。




「ぼ、僕も・・・!僕も、しぃちゃんの事、好きだよ」




震える声。
精一杯の声が届く。


「え・・・?」




信じられなくて振り向くと、千秋くんは真っ赤な顔をしていた。
その顔を見てしまったら、冗談、なんて思えなくなってしまう。




「し、しぃちゃんの事、ずっと、好きだった。でも、僕なんかって思って。友だちでいいって思ってた・・・」