2年も付き合っていれば、そりゃ落ち着くよ、と周りは私を嘲笑った。

それでも私は、燃えるように求められたかった。
私でなければだめなのだ、と言ってほしかった。
お前が世界でいちばん可愛いよと頭を撫でられたかった。


「今日、仕事で会えないわ。」


彼のデートのドタキャンにも、もう慣れた。
周りは、仕方ないよと私の肩を叩いた。

けれど私は街中を手を握って歩く恋人たちを見ると、どうしようもない悲しみに襲われた。

「その代わり、今度埋め合わせするから。」

そのセリフも、悲しくなるだけだと きっと悟さんは知らない。


「悟さん、今日ね、あのね、」

「類、いま仕事してるからあとでいい?」


彼の目がこっちを向かないこと、知っているけれど悔しくて何度も何度も話しかけてしまう。