「俺、3年の楠見泰介(くすみ たいすけ)!」

全く人見知りしなさそうな人だった。

先輩か。3年生でもたいていは腰を低くして

逃げていくんだけど、この楠見、という男は

仁人と同じであたしに全く怖がらない。

というか、この人どこかでー…?

ま、気のせいか。

「じゃ、わたしはこれで。」

去ろうとするとパシッと腕をつかまれる。

「な、んですかっ…」

「桜良ちゃんて、この辺で有名な

大榎組の番長なんでしょ?怖くない?」

…うわ、こういうの直接聞いてくるとか

ヤンキー慣れしてる…?はずないか。

「別に…全然怖くないですけど。」

「そーなんだ。桜良ちゃんよく門の前で

喧嘩してるの見るけど、強いよねえ。

でも、桜良ちゃん顔はキレイだから

俺的には少し勿体無いって感じかな?」