「何もない!あと!陰キャくんはやめて!」

それだけを言うとあたしは弁当をさっさと

片付けて屋上を出た。

「桜良さん…、もしかして、恋…?」

って、奈津がぽそりとつぶやいた

言葉は聞こえなかったけど。

* * *

泣いた、なんて言えるわけないでしょ…!

そう思いながら、ズンズンと足を進める。

角を曲がるとき、あたしは人と衝突した。

「わっ!!!」

相手はあたしを見るなりすぐ逃げるか

土下座するー……………と、思いきや。

「あ!大榎桜良ちゃんだよねっ?」

…ん?これまた、初めてのパターン。

「…そうだけど、なに?」